「障がい者雇用」は数字合わせで良いのか。
― 読売新聞報道から見える現実 ―
2026年5月。読売新聞は、障がい者雇用を巡る大きな問題を連日報じた。
5月7日朝刊では、「障害者就労 企業に依存」という見出しで、障がい者雇用ビジネスの実態を特集。
さらに5月12日朝刊では、「障害者雇用代行ビジネス」という言葉を用い、大手企業までもが“法の理念”から外れかねない形で障がい者雇用率を満たしている現実に切り込んだ。
もちろん、法律違反と断定されているわけではない。
しかし、“法律の穴を使えば良い”という発想が広がれば、その先に待つのは「人」ではなく「数字」だけを見る社会である。
そして何より深刻なのは、障がい者本人の人生や尊厳、人権が置き去りにされることである。
「雇用率達成」が目的になっていないか
本来、障がい者雇用促進法の目的は明確だ。
障がいがあっても、社会の一員として働き、成長し、役割を持ち、自立へ向かって歩める環境をつくること。
決して、“人数だけそろえて企業評価を守る”ための制度ではない。
しかし一部では、
- 実際の業務が極端に少ない
- 成長支援がほとんど行われない
- 企業本体と切り離された環境で働かされる
- 「雇用している形」だけが先行する
といったケースも指摘されている。
それが本人の希望や特性に合致し、十分な支援と納得の上で成り立っているなら良い。
しかし、もし“企業側の都合”だけで障がい者が扱われているなら、それは極めて重い問題である。
障がい者は、企業の評価点を稼ぐための道具ではない。
人生があり、感情があり、夢があり、悔しさも誇りもある、一人の人間である。
毎日4時間、真剣に訓練している現場がある
就労継続支援B型フロンティアでは、利用者さんたちが毎日、真剣に訓練へ励んでいる。
「できることを一生懸命に。明るく・楽しく・前向きに!」を大切にしながら、日々の作業や訓練に取り組んでいる。
ラスク製造、袋詰め、シール貼り、のぼり旗の梱包、電気部品の組立等の軽作業、リサイクル作業――。
一つひとつは地味に見えるかもしれない。
しかし、その積み重ねの中には、
- 時間を守る
- 報告する
- 集中する
- 仲間と協力する
- 最後まで責任を持つ
という、「働く力」の本質が詰まっている。
利用者さんの多くは、毎日4時間、汗を流しながら訓練している。
だが現実は厳しい。工賃は、1時間あたり約270円。
世間の感覚から見れば、非常に厳しい数字である。
それでも利用者さんたちは、
「働きたい」
「社会とつながりたい」
「自分でできることを増やしたい」
という思いを胸に、毎日通っている。そこには、“数字だけの雇用”とは真逆の世界がある。
障がい者雇用率を達成する。それ自体は確かに重要だと思う。
しかし本当に問われるべきなのは、“何人雇ったか”ではなく、“どう向き合っているか”ではないだろうか!
就労継続支援B型フロンティアでは、支援員が利用者さん一人ひとりの体調や特性を見ながら、少しずつステップアップを支援している。
昨日できなかったことが、今日できるようになる。
声を出せなかった人が、「おはようございます」と言えるようになる。
集中が続かなかった人が、30分、1時間、そして4時間と作業できるようになる。
その小さな成長の積み重ねこそ、本当の支援である。
赤穂市の地域の中で、利用者さんたちは確かに「働く」を学んでいる。
一方で、もし企業側が「法定雇用率さえ満たせばいい」という発想に陥れば、障がい者雇用は形骸化する。
それは制度への信頼を壊すだけではない。
真面目に支援している現場をも苦しめる。
「障がい者のため」と言いながら、人権を置き去りにしてはならない
障がい者支援の世界で、最も怖いのは“善意の顔をした無関心”である。
「雇用しているから問題ない」
「法律は守っている」
「制度上は適法」
その言葉だけで、本当に十分なのか。
障がい者本人が、
- やりがいを感じているか
- 成長できているか
- 社会とのつながりを実感できているか
- 将来へ希望を持てているか
そこを見なければ、支援は空洞化するのではないか!
法律の抜け穴ではないにしろ、それに近いような行為が横行する社会を、私たちは見過ごしてはいけない。
障がい者の人権を軽視するような流れは、断じて許されない。
工賃の問題、制度の課題、人材不足――。就労の現場には苦労も多い。
それでも、利用者さんの笑顔や成長があるから、今日も支援を続けている。
赤穂市から、本当に人を大切にする障がい者支援を発信していきたい。
見学はいつでも歓迎しています 現場を知ってこそ「障害者の就労問題を語ることが出来る!」
就労継続支援B型フロンティアでは、随時見学を受け付けています。
- 「どんな場所なんだろう?」
- 「実際の雰囲気を見てみたい」
- 「働く訓練ってどんなことをするの?」
そんな方は、ぜひ一度見に来てください。
現場を見れば、“本気で訓練している空気”は必ず伝わるはずです。
利用者さんたちは今日も、笑顔で、そして真剣に4時間の訓練へ取り組んでいます。
障がい者雇用は、数字ではない。人である!
その当たり前を、社会全体でもう一度見つめ直す時ではないだろうか!
【参考】法定雇用率を達成しない場合、企業はどうなるのか
現在、日本では一定規模以上の企業に対し、「法定雇用率」が義務付けられている。
2026年現在、民間企業の法定雇用率は2.5%。
つまり、従業員40人以上の企業では、障がい者を雇用する義務がある。
では、達成しなかった場合どうなるのか。
① 障害者雇用納付金(事実上のペナルティ)
法定雇用率を下回る企業は、不足人数に応じて「障害者雇用納付金」を支払う必要がある。
不足1人あたり、月額5万円。
例えば2人不足していれば、年間120万円。5人不足なら、年間300万円にもなる。
つまり企業側には、“払うくらいなら何とか達成したい”という強い圧力がかかる。
② 企業名公表のリスク
長期間にわたり改善指導に従わない場合、厚生労働省から企業名を公表される場合がある。
上場企業や大企業にとっては、社会的信用に直結する重大問題である。
③ 行政指導・改善命令
ハローワーク等を通じ、障がい者雇用計画の作成命令や改善指導が行われる。
特に近年は、「ただ人数を満たせば良い」という考え方ではなく、“実質的な雇用の質”も厳しく見られ始めている。
だからこそ今、問われている。障がい者雇用とは、企業防衛のためなのか。
それとも、障がい者本人の人生と未来のためなのか。
制度の本来の目的を見失った時、最も傷つくのは、現場で懸命に生きる障がい者本人たちである。
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